過去の「栄光」を取り戻そうとする情念を二人は強く共有している[ホワイトハウスの大統領執務室で握手を交わすモディ首相(左)とトランプ大統領=2025年2月13日](C)AFP=時事

 インド・パキスタン紛争が核戦争に発展する可能性が現実のものとなった現在、第二次トランプ政権とインドの関係は単なる二国間関係を超える重要性を持つ。2025年1月の発足以来、「常識の革命」を掲げて次々と常識破りの政策を打ち出してきた第二次トランプ政権に世界が翻弄されるなか、12年目を迎えるモディ政権は「ヒンドゥー国家」実現へ向けて着実に歩みを進める。2025年4月22日にインド・カシミール地方で起こったテロ事件を直接の契機とする印パ間の衝突は、世界がトランプ関税とロシア・ウクライナ戦争ガザ紛争に目を奪われる間隙を縫ってエスカレートしていった。

 日本ではこれまであまり注目されてこなかったが、2022年にロシア・ウクライナ戦争が始まるまでは、核戦争の危険性が最も高い地域は南アジアであった。インドとパキスタンという隣接する二つの核保有国が、1947年の独立以来80年近くにわたって戦火を恒常的に交えている事例は他には存在しない。今回、その危険性が改めて露呈した。

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