ブレイクスルーを待つ「ペロブスカイト太陽電池」――日本発の有望技術は従来の太陽電池と何が違うか|村上拓郎・産総研ペロブスカイト太陽電池研究チーム長(1)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、ペロブスカイト太陽電池とは何か、そのメカニズムやメリットについて、産業技術総合研究所ペロブスカイト太陽電池研究チーム長の村上拓郎氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
「中国集中リスク」への打開策にも
——なぜ今、ペロブスカイト太陽電池に注目が集まっているのですか。
「ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術です。桐蔭横浜大学の宮坂力教授が、2009年にペロブスカイトと呼ばれる結晶を用いた太陽電池を開発、発表したことがこの技術のスタートラインです」
「日本は今まさに、再生可能エネルギーの導入量を増やそうとしている最中です。そのため、太陽光発電も含め、風力、地熱、水力などの再生可能エネルギーについて、導入目標を定めています」
「その中でも太陽光発電は、2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)により、飛躍的に導入量が増大した再生可能エネルギーです。けれども、2050年のカーボンニュートラル達成という目標に対して、太陽光発電の導入量はまだまだ不足しています」
「ところが、現在普及している結晶シリコン太陽電池のパネルを設置できる場所には限りがあります。これまで太陽光パネルを置けなかった場所に設置可能な新しい太陽電池を開発すれば、太陽光発電の導入量を今後更に増やしていくことができます」
「現在普及している結晶シリコン太陽電池は重いため、耐荷重が低い建物の屋根に載せることはできません」
「そこで、軽いペロブスカイト太陽電池に注目が集まっている、というわけです」

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