
タイの首都バンコクのカンボジア大使館前で抗議行動を行う王政支持の活動家。プラカードには「No Man’s Land(無主地)はタイの国境、タイだ」と書かれている[2025年6月6日](C)REUTERS/Chalinee Thirasupa
[バンコク発/ロイター]タイとカンボジアは、817キロに及ぶ国境沿いの複数の地点で、1世紀以上にわたって主権をめぐり争っている。国境線が画定されたのは1907年。カンボジアはフランスの植民地だったが、フランスは当時の合意に基づき、自然の分水嶺に沿って国境を定めた。タイは、これに異議を唱えている。
両国は2000年に国境問題を平和的に解決する「国境合同委員会」の設置で合意したが、実質的な進展はほとんどなかった。
歴史的遺跡をめぐる所有権問題も国境問題と結びつき、両国のナショナリズムを煽っている。2003年にはタイの著名人によるカンボジアのアンコール・ワットに関する発言がきっかけとなり、同国首都プノンペンでタイ大使館やタイ企業が放火される暴動が起きている。
過去の主な衝突
11世紀建立のヒンズー寺院プリア・ヴィヘア(タイ名:カオ・プラ・ヴィハーン)は、長年にわたる両国間の焦点だ。1962年、国際司法裁判所(ICJ)は寺院の帰属をカンボジアに認めたが、タイは現在も寺院周辺の土地の領有を主張している。

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