AfDの政党活動を禁止すべきなのか、ドイツ社会の分断と政治危機

執筆者:駒林歩美 2025年5月22日
タグ: ドイツ
エリア: ヨーロッパ
政党活動の禁止によって「殉教者」の地位に追い込まれれば、党への熱狂はむしろ強まる可能性もある[AfDの政党活動禁止を求めるデモ隊=2025年5月11日、ドイツ・ベルリン]
独連邦議会で全体の4分の1近くの議席を占める「ドイツのための選択肢(AfD)」について、連邦憲法擁護庁は5月に「右翼過激派」として認定したが、同党からの提訴を受け判断を保留中だ。ドイツでは、支持を伸ばし続ける同党の政党活動禁止の是非を巡って議論が熱を帯びる。支持者はAfDこそが「真の民主主義政党」であり、既存政党とは違って自分たちの声を代弁してくれると信じている。それゆえに、AfDを抑制しようとする当局の動きは、さらなる分断を招きかねない。

 5月2日、ドイツの調査機関・連邦憲法擁護庁は、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を「右翼過激派に確定」と認定した。過去には「右翼過激派の疑いあり」とされていただけだったが、その確度を上げた。この判断に対し、AfDが撤回を求めて連邦憲法擁護庁を提訴したことで、この分類は一旦停止され、その判断は裁判所に委ねられている。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
駒林歩美(こまばやしあゆみ) ドイツ在住のフリーランスライター。東京大学卒業後、コンサルティング会社、東南アジアでの勤務を経てヨーロッパに移住後、フリーランスに。講談社『クーリエ・ジャポン』などのメディアで、欧州事情やドイツ社会について伝える。オランダ・エラスムス大学経営学修士、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 教育大学院 教育学修士。
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