「今週のトランプ」ラウンドアップ
「今週のトランプ」ラウンドアップ (16)

トランプ大統領の発言とアクション(6月26日~7月4日):関税交渉で日本が「最優先」から「後回し」になった理由

執筆者:安田佐和子 2025年7月5日
エリア: 北米
英国、ベトナムの合意にあって日本の交渉にないものは……[7回目の日米関税交渉について石破茂首相に報告後、取材に応じる赤沢再生相2025年6月30日、首相官邸](C)時事
トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した1週間分の発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。▼一番の理由は「公平ではない」以外に?▼合意のカギは「対中包囲網」▼ベッセント財務長官が想定するのは「参院選後の合意」か▼「ひとつの大きく美しい法案」が成立も、米金利上昇は限定的である理由

 

一番の理由は「公平ではない」以外に?

 相互関税を発表してまもない4月7日、ドナルド・トランプ大統領から通商協議担当の大役を命じられたスコット・ベッセント財務長官は、交渉にあたり「日本が優先される」と明言した。赤沢亮正経済再生担当相も4月16日、初の米国との通商協議に赴き、「(トランプ氏から)日本の協議が最優先という発言があった」と石破茂総理に報告している。

 あれから約3カ月、日本はいつの間にか、米国との通商協議の優先権を失い、「後回し」の憂き目に遭っている。それどころか、トランプ氏は7月1日に記者団に述べたように、日本は甘やかされているとして、関税率を30~35%に引き上げることも辞さない構えだ。関税交渉のトップランナーだったはずの日本は、どこで間違えたのだろうか?

 トランプ氏は、日本がコメ不足にもかかわらず米国産のコメを輸入しないと不満を漏らすほか、日本の対米自動車輸出に対して米国からの輸入が少なく、「公平ではない」と批判する。これらが日米間の貿易合意に立ちはだかる壁となっていることは間違いない。

 もっとも、英国とベトナムそれぞれと米国が合意した内容には、日本が準備できていない別のカギも備わっているのではないだろうか。

【日米交渉、主なポイント】
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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安田佐和子(やすださわこ) ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事するかたわら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。
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